足部・足関節機能について徹底解説!!解剖・運動学から足部の構造・動きを理解する【基礎から治療へ】

足部・足関節機能について徹底解説!!解剖・運動学から足部の構造・動きを理解する【基礎から治療へ】

こんにちは!

理学療法士のヨシキです!

今回は足部の解剖・運動学の復習をしていこうと思います。

臨床の中で歩行修正は頻繁に行われる治療内容ですが、CKCの運動において足部からの上行性運動連鎖は運動制御に大きく影響してくると思います。

メジャーなアプローチは股関節や膝関節などに目を向けがちですが、足部の複雑な構造、動きを理解すると動作観察から治療までがよりスムーズかつ的確にアプローチが出来るようになります。

なので、まずは解剖・運動学からまとめていきます。

足部の機能

足部の評価を行う際は、前足部・中足部・後足部に分類し、それぞれの機能を運動学を元に評価していきます。

後足部は、横足根関節(ショパール関節)より近位のことを指します。

後足部に存在する距腿関節・距骨下関節は足部の中で最も大きな可動域を有します。

距腿関節は、脛骨遠位端・腓骨遠位端と距骨上部から形成される関節であり、背屈・底屈に関与します。

運動軸は、内果下端と外果下端で形成されますが、外果に対して内果は前額面からみて約8°上方水平面からみて約75°前方に位置し、矢状面からみて約106°前上方を向くとされています。

距骨下関節は、距骨と踵骨から形成される関節であり、回内・回外に関与します。

運動軸は、前額面からみて内側が57°上方水平面からみて内側が約17°内側前方矢状面からみて約53°前上方を向くとされています。

また、距骨下関節は後足部の位置を制御する作用を持ち、横足根関節の安定性を制御します。

さらに、後足部は足部全体の可動性と固定性に関与します。

中足部は、横足根関節から足根中足関節(リスフラン関節)までを指します。

中足部は、可動性が低く、1つの剛体として捉えます。

ショパール関節は、距骨と舟状骨からなる距舟関節、踵骨と立方骨からなる踵立方関節から形成され、この2つの関節が協同して働きます。

また、可動性は低いですが足部の柔軟性のコントロールを担っており、荷重分散には必要な関節とされます。

足部が回内位をとる際、距舟関節と踵立方関節の運動軸がほぼ平行となることでショパール関節の可動性が増し、柔軟性の富んだ足部となります。

逆に足部が回外位をとる際、距舟関節と踵立方関節の運動軸が平行ではなくなり、柔軟性の低い足部となり、剛性の富んだ足部となります。

歩行時では、踵接地で衝撃吸収が必要です。この時、距骨下関節は回外位から回内位となることで、それ以遠の関節の可動性を拡大させ、地面に接地しやすい柔軟性の高い足部となります。これによって踵接地時の衝撃吸収が可能となります。

また、踵接地後は前方に進むための推進力が必要となります。そのため、回内位で接地していくと床反力によって相対的に距骨下関節は回外位となります。それによって、足部の柔軟性は低下し剛性の富んだ足部となることで蹴り出しの出力を生み出します。

前足部は、足根中足関節から遠位のことを指し、可動性を有しながらも固定性の機能も持ちます。また、歩行時において下腿三頭筋の筋力の作用点となり、蹴り出しによる推進力を生み出す働きがあります。

運動連鎖

身体運動を遂行するためには運動連鎖は重要な要因と言えます。

足部からの上行性運動連鎖で挙げられるものとしては、踵骨内外反に対しての下腿内外旋があります。

この連鎖はCKC運動における足底接地にて、踵骨内反に対して下腿は外旋を生じさせ、踵骨外反に対しては下腿は内旋を生じさせます。

また、踵骨と下腿の連結は距骨を間に介することで成立しています。そのため、距骨・踵骨からなる距骨下関節、距骨と脛腓骨からなる距腿関節の2つの関節の複合運動から構成されます。

踵骨−下腿の運動連鎖の機能としては、下肢に生じる回旋ストレスを足部内外反に変換させ吸収することや、足部内外反から下肢回旋運動へと伝達させるなどがあります。

しかし、素直に考えると距腿関節が内反位であれば距骨下関節は回外するように思われますが、距腿関節は内果が外果に対して上方に位置しているため関節面は軽度内反位をとります。

それに対し、外側荷重偏位を防ぐために距骨下関節は回内位をとり、後足部を外反位へ誘導することで支持面を確保するように連鎖します。

複雑になりますが、2つの関節がバランスをとるように連鎖を行います。そして、どちらかの関節で大きな回旋が誘発されれば関節面で見れば逆の動きに見れますが、全体としてみたときには一方向へ偏位してしまいます。

例えば、足部外側荷重が過剰であった場合、距骨下関節回外が大きくなり、距腿関節は外反でバランスをとろうと動きますが、可動範囲にも限度があるため、結果的に内反方向へ偏位してしまい、下腿外旋・大腿骨外旋へと連鎖してしまいます。

次に、前・中・後足部の運動連鎖についてです。

これらの運動連鎖は、歩行時の立脚期において、後足部の回内/回外に対して中足部の回内/回外、中足部の回内/回外に対して前足部の回内/回外が生じます。

例外としてtoe-off時、後足部の回外位となり前足部は回内し母趾球にて蹴り出しを行います。これによって内側縦アーチが保持され、後足部・前足部の相反した動きにより足部の剛性が高められ、toe-offによる前方推進力を生み出します。これがウィンドラス機構ですね。正確に言えば、足趾の背屈も加わり足底腱膜が巻き上げられることでアーチ挙上に関わります。

長くなりそうなので、歩行時における運動連鎖及び筋活動についてはまた今度まとめていこうと思います。

足関節背屈制限

足関節の可動制限としてよく目にする背屈制限について解説します。

足関節背屈可動低下が生じると、踵接地部位の前方化足底接地の早期化踵離地の早期化などが生じ、さらに踵接地部位の前方化では後方よりも接触面積が狭まるため、踵骨下脂肪体による圧分散が困難となり圧集中などが生じてしまいます。

背屈制限といえば、腓腹筋の伸張性低下などが挙げられますが、臨床で腓腹筋のストレッチングのみで背屈可動が向上する患者さんはほとんどいないのではないかと思います。

なので、今回は、その他の制限因子についていくつか解説していこうと思います。

前提として足関節背屈に必要な要素としては、①距骨の後方滑りと前方転がり②足底腱膜を含めた底屈筋群の伸張性③距骨下関節の回内可動性などが挙げられます。

これらの要素が阻害されることで円滑な足関節背屈を行うことが困難となるため、下腿三頭筋の柔軟性低下や関節の遊びだけでなく、運動軸の変位を考えることが重要と思います。

まず、上記3つの要素に関わってくるものとして、長母趾屈筋が挙げられます。

走行は上記画像の青で示したものになります。見ていただくと、長母趾屈筋は下腿外側から距骨内側後方から下面を走行し、母趾へ向かって内側アーチを形成します。

そのため、距骨後方を走行する長母趾屈筋の緊張が亢進すると、足関節背屈運動に必要な距骨後方滑りが阻害され、足関節背屈可動制限を呈してしまいます。

この長母趾屈筋は内果組織の中に分類され、その他の内果組織である後脛骨筋や長趾屈筋、三角靭帯も同様に伸張性低下が背屈制限を誘発します。

その他の制限因子としては距骨前脂肪体やケーラー脂肪体の柔軟性低下腓骨筋の滑走性低下足底腱膜及びアキレス腱の緊張亢進などが考えられます。

今回は、ケーラー脂肪体のみ解説します。

ケーラ脂肪体はアキレス腱の下に存在しており、背屈に伴いアキレス腱や長母趾屈筋は遠位に滑走するのに対し、ケーラー脂肪体は矢印に示した方向へ形態変化し、アキレス腱外へ出てくるように拡がります。

逆に、底屈ではアキレス腱や長母趾屈筋は近位に滑走し、ケーラー脂肪体は矢印に示した方向へ形態変化し、アキレス腱内(下方)へ入り込んでいきます。

このケーラー脂肪体の滑走性低下が生じると、アキレス腱及び長母趾屈筋も同様に滑走不全が生じてくるため、足関節背屈制限を呈してしまいます。

背屈制限は軟部組織以外にも骨・関節の可動低下でも生じ、今回紹介した距骨に関しての知識として、背屈のためには回内の動きが必要ですが、距骨の回外が生じている場合、高確率で距骨が前方偏位しており、結果後方滑りが生じず背屈制限を呈すなどもあります。

今回はざっくりとした説明ですが、背屈制限一つにしても様々な要因で生じるため、下腿三頭筋の伸張性低下だけで済ませるのではなく、運動軸の変位を生じさせている要因を細かく評価していくことが大切だと思います。

アブダクトリーツイストとオーバープロネーション

最後に、歩行時の足部異常動作を解説します。

アブダクリーツイスト、オーバープロネーションというものは聞いたことがありますか?

アブダクトリーツイストとは、TSt時につま先を支点として踵部が内側にツイストする現象であり、下腿の過外旋や内側ホイップを引き起こす要因でもあります。

オーバープロネーションとは、後足部の過剰回内のことを指し、扁平足や外反母趾の原因となることが多く、シンスプリントなどランニング障害を引き起こす要因でもあります。

基本的にこの二つの現象はセットで生じてくるもので、オーバープロネーションによって歩行周期全体で後足部が過回内位をとります。

その結果、IC時の踵接地が膝関節より内側に接地してしまいます。その結果、下腿外旋連鎖が助長されるとともに、足部では母趾球ではなく第二中足骨を支点として踵骨は内側へ偏位していきアブダクトリーツイストが誘発されます。

また、距腿関節での背屈制限の代償として足部外転が生じることでアブダクトリーツイストが誘発されるなどもあります。

この現象は、足部からの上行性運動連鎖を評価していく上で重要なので、変形性膝関節症の方や足関節背屈制限のある方などの動作観察から見ていただくといいと思います。

参考書籍

最後に

今回は、足部の解剖を中心にまとめてみましたが、臨床的なとこはざっくりとした説明になってしまったので、また機会があれば詳しく解説できればと思います。

運動器疾患も診る上で、運動連鎖からに評価は重要であり、動作へのアプローチをしていくのであれば足部からの運動連鎖は身体運動に大きな影響を与えているので、局所だけでなく遠位からの影響もアセスメント出来るようにしていきたいですね。

今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います!

それでは、理学療法士 ヨシキでした!