学校では習ってないバランス評価「 SIDE」知ってますか?【明日のリハビリから使える簡易静的姿勢バランステスト】
- 2022.02.06
- リスク管理 歩行 評価
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こんにちは!
理学療法士のヨシキです!
いきなりですが、みなさんは普段どのようなバランス評価を行っていますか?
バランス評価には様々な評価があり、BBSやTUG、STRAT-IFY、HFRMなどが挙げられます。
その中でもBBSは評価項目が14項目に分けられ、様々な複合的なバランス機能の評価ができることから信頼性が高いとされています。
しかし、TUGでは時間による計量的なバランス機能を示せても、判別的評価尺度とはなり得ません。
例えば、TUGにて基準値よりも計測時間を要した場合、転倒リスクは示唆されても「どのような肢位で転倒しやすいのか」「現状のバランス機能で可能な活動範囲はどこまでなのか」など明確に示せないですよね?
STRAT-IFYやHFRMにおいても、転倒リスクは示唆できますが、バランス保持能力や動作能力の評価項目がほとんどないため判別的評価尺度にはなり得ません。
そこで!
今回紹介させていただくThe standing test for imbalance and disequilibrium「SIDE」が判別的評価尺度として有用とされているため、まとめていこうと思います!
SIDEとは
SIDEとは、静的立位バランス保持能力を判別的に6段階に分ける評価尺度です。
立位バランス保持能力を可能な動作と不可能な動作によって低い能力から順にLevel 0、1、2a、2b、3、4の6段階に分けて評価を行います。
実施する動作は、低いレベルから開脚立位、閉脚立位、継ぎ足立位、片脚立位を実施し、保持時間の計測でレベルを判定します。
Level 0
開脚立位を一人で保持できず、立位保持には必ず支持(支持物or介助者)が必要。
Level 1
開脚立位を一人で保持できるが、閉脚立位は5秒以上保持不能でバランスを崩す。
Level 2a
閉脚立位を5秒以上保持できるが、継ぎ足立位は両側とも5秒以上保持できないか、バランスを崩す。
Level 2b
継ぎ足立位は片側だけ5秒以上保持できるが、もう一方は5秒以内にバランスを崩す。
Level 3
継ぎ足は両側とも5秒以上保持できるが、片脚立位は30秒以上保持できない。
Level 4
どちらか一方で片脚立位が30秒以上保持可能できる。
SIDEの段階付けは、テスト対象者が自発的、あるいは介護者の介助によってとられた肢位を一定時間でできるかどうかによって決定されます。
そのため、ベッドまたは椅子などに座った姿勢から立ち上がり、このテストで指定されている肢位をとるまではまでは介助してもよいとされ、その後一定の姿勢を保てるかで判定します。
また、対象者が少しでもバランスを崩したら、すぐに介助を行い転倒させないように安全性を確保しましょう。
注意点として、日常使用している装具の使用は認められますが、歩行補助具の使用は認められていません。
SIDEレベルと活動レベル
回復期リハビリテーション病棟入院患者556名を対象に入院14日間以内の転倒36件を入院時のSIDEレベルで検討した研究によると、
転倒者群のバランスを入院時のSIDEで表すと、非転倒者群に比べSIDE Levelは低く、SIDE Level 2b以上で転倒の発生はなかった。
出典ーAn analysis of falls occurring in a convalescence rehabilitation ward – a decision tree classification of fall cases for the management of basic movements /Teranishi Tー
と報告されています。
Level 0
移動は原則車椅子で、ベッドー車椅子間の移乗にも介助が必要。
Level 1
転倒リスクが高く、ベッドサイドでの立位移動には必ず見守りまたは介助が必要。
Level 2a
危険肢位・動作を取らないように自分で注意できる能力があれば、手すりあるいは歩行器歩行が可能。
Level 2b
危険肢位・動作を取らないように自分で注意できる能力があれば、独歩可能だが、できない場合は、周囲が厳重に注意する必要がある。
Level 3
屋内の独歩は可能、屋外は注意が必要。
Level 4
屋内外ともに転倒の危険性はほとんどない。
SIDEの信頼性と妥当性
回復期リハビリテーション病院に入院中の30名の患者に対して、SIDEおよびBBSを用いてバランス機能評価を行った研究によると、
SIDEの評価者間信頼性は優れた再現性を示した(Cohen’s k統計量=0.76)。また、SIDEレベルとBBSスコアの間には基準関連妥当性が非常に高かった。
出典ーA discriminative measure for static postural control ability to prevent in-hospital falls: Reliability and validity of the Standing Test for Imbalance and Disequilibrium (SIDE)/Teranishi Tー
と報告されています。
また、継ぎ足立位や片脚立位には利き足・非利き足間の差は認められなかったと報告されており、検査時に利き足か非利き足かは考慮しなくてもいいです。
これらを踏まえると、SIDEは信頼性・妥当性があり、必要な道具は時計のみかつベッドサイドでも短時間で実施可能なバランス評価といえます。
まとめ
入院中および退院後の転倒予防はリハビリを実施していく上で重要事項だと思います。
そのため、バランス評価は多数報告され、セラピストそれぞれが患者さんにあった評価を実施しています。
特にBBSは妥当性・信頼性は周知され多くの臨床現場で使用されています。
しかし、BBSは評価項目が14項目もあり時間を要することや、術後やバランス機能が低くそもそも実施困難な患者さんも少なくありません。
そういった場面における簡易静的姿勢バランステストであるSIDEはとても有用と考えます。
転倒リスクに対する簡便な一つの指標として、SIDE Level 2bでもある継ぎ足立位5秒以上保持可能かどうかを基準にしてみてもいいかもしれませんね。
それでは、今回はこの辺りでおしまいです!
今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います!
理学療法士 ヨシキでした!
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