歩行における足部の動き|理学療法士なら知っておきたい足関節の運動連鎖【これを知れば歩行がわかる】
- 2021.06.08
- 歩行 足関節
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こんにちは!
理学療法士のヨシキです!
今回は歩行周期についてまとめていこうと思うのですが、歩行をみる上で運動連鎖の起点となる足部からまとめていこうと思います。
足部に機能解剖についてはこちらから見てみてください!(^ ^)
歩行周期における距腿関節の動き
まず、足関節と言われると思い浮かべるのが距腿関節だと思います。
一番認知されているのに相応しく、距腿関節は足関節の中で最も可動性を有しています。
後述する距骨下関節とともに、後足部の可動性をコントロールし、踵骨ー下腿間の回転運動の変換器として考えられています。
歩行はICを始めとし、足関節もまた0°のニュートラルポジションから開始します。
ICでは外部モーメント(床反力ベクトル)が足関節回転中心である外果中心の後方を通過します。
そのため、外部モーメントによって距腿関節に底屈方向のモーメントが働きます。
その結果、LRに向かって距腿関節は底屈の動きをすることになるのですが、骨運動だけで考えると足部の急速落下が生じてしまいます。
そのため、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋が遠心性に働き、内部モーメントとして距腿関節の底屈にブレーキをかけ、踵接地時の衝撃緩和に作用します。
この作用はとても重要です。この後に生じるLRでのヒールロッカーでは、歩行周期で最も重心が低くなる時期であり、上から約2cmの自由落下となるため、体重の1.2〜1.5倍の荷重(衝撃)がかかります。
しかし、ヒールロッカー自体は踵骨の形状を用いて回転するため、回転軸が関節にありません。
つまり、ヒールロッカー制御は関節運動ではないため、筋力による運動制御ができません。
そのため、この時期に働く筋は遠心性収縮を行い、足関節以外の関節も用いて衝撃吸収を行うことになります。
例えば、前脛骨筋の収縮によって下腿が前方へ引き込まれ、膝関節屈曲を誘発することで、膝関節の衝撃吸収を促します。
次にLRに移行し、距腿関節はニュートラルポジションから5°底屈位となります。
外部モーメントの位置はIC同様に外果中心の後方にあるため、底屈モーメントが発生しますが、MStに向かって底屈モーメントは減少していきます。
次はMStへと移行し、距腿関節は5°底屈位から5°背屈位となります。
外部モーメントは、ヒールロッカーから前方推進力が生まれ、反対則下肢の前方へに動きによって外果中心から前足部へと移行します。
そのため、外部モーメントは距腿関節の背屈方向へ働き、内部モーメントが底屈方向へ働くため下腿三頭筋が遠心性に作用します。
MStでは直立位を境にして、前半・後半に分けて運動形態が異なります。
前半では、膝関節伸展に伴い重心を高い位置へと引き上げ、次の動作への加速度を生み出します。
後半では重力によって身体運動は加速度的に前方回転が生じるため、腓腹筋・ヒラメ筋が遠心性に働き、下腿と大腿骨の前方への加速が制御されます。
また、MStではヒールロッカーの次に距腿関節を軸にするアンクルロッカーが作用します。
アンクルロッカーの前半では、ICで下がった重心位置を引き上げ、その後の推進力を生み出し前方への回転運動を引き起こします。
重心位置を引き上げるためには膝関節伸展が必要となりますが、大腿四頭筋が働くのではなく、ヒラメ筋と大臀筋の協調した働きによって、下腿に対して大腿骨を前方へ回転させ膝関節伸展位となります。
アンクルロッカーの後半では、加速した前方推進力に対してヒラメ筋と腸腰筋が遠心性に働き、加速した推進力へブレーキをかけるように働きます。
次にTStへと移行し、距腿関節は5°背屈位から10°背屈位となります。
外部モーメントは、MStよりさらに前足部へ移行し、距腿関節背屈モーメントが最大となります。
そのため、内部モーメントが底屈方向へ最大に働き、下腿三頭筋に要求される筋力はMStの約3倍まで引き上がります。
TStではMP関節を軸とするフォアフットロッカーが作用します。
フォアフットロッカーでは、下腿三頭筋の遠心性収縮によって距腿関節背屈を制御することで、踵が地面から離れ、前方への推進力を生み出します。
これによって、反対側の遊脚期延長につながります。
また、TStの最終域で長趾屈筋、長母趾屈筋の順で最大に活動し、内側縦アーチをサポートします。
歩行周期における距骨下関節
距骨下関節の動きは距腿関節と同一靭帯で連結されているため、連動して可動します。
役割としては、踵接地時の衝撃吸収作用と蹴り出しへの剛力の2つが挙げられます。
ICでは、踵接地が外側接地となるため重心線が内側に落ちることで、LRにかけて踵骨5°外反・距骨下関節の回内が生じます。
この際の距骨下関節回内によって、それ以遠の関節可動性を拡大することになるのですが、横足根関節の運動軸をコントロールしていることが重要になります。
距骨下関節回内では、横足根関節を構成する踵立方関節と距舟関節の運動軸が平行となることで、足部回転運動への柔軟性が増します。
逆に、距骨下関節回外では、踵立方関節と距舟関節の運動軸が交差することで足部の剛性が増し、推進力の伝達に貢献します。
つまり、踵接地にて距骨下関節回内によって衝撃吸収を行い、前方への推進力を生み出すためにMSt〜TStにかけて回外することで足部柔軟性を低下させ、剛性の高い足部となることで蹴り出しが可能となります。
最近の報告では、歩行周期において距骨下関節回外が生じることはなく、回内の減少に伴う相対的な回外が生じていると考えられています。
また、距腿関節でも述べたヒールコンタクトでは、踵骨を運動軸とするため衝撃吸収機能がありません。
そのため、距骨下関節回内によって足部柔軟性を向上させ、衝撃吸収を行いますが、距骨下関節回内によって下腿に内旋の運動連鎖を引き起こします。
それによって、膝関節に緩みを与え、膝関節屈曲を生じさせやすくすることで衝撃吸収を行います。
歩行周期における横足根関節
横足根関節の動きは、前額面上からみる縦軸の内外反の動きと斜軸の内転・底屈(回外)、外転・背屈(回内)があります。
まず、縦軸の動きではMStでの横足根関節外反ロックが重要となります。
基本的に、中足部は後足部の運動を遠位に伝える役割がありますが、その役割は関節の形状からもわかります。
中足部の関節は全て凸の形状をとっているため、1つの剛体として存在しています。
そのため、中足部の中で連鎖的に動くより高足部の動きに対して連鎖的に動くことが主となっています。
順を追っていくと、IC時に前脛骨筋の収縮によって内反位でのヒールコンタクトを行い、前脛骨筋の遠心性収縮によって徐々に正中位での足底接地をとっていきます。
つまり、距骨下関節は回内位をとることになりますが、床反力によって回外方向へ変位していくため、長腓骨筋によって立方骨を外反位へと誘導します。
これによって、踵立方関節は外反ロックされ、推進力の向上と足圧中心が外側から内側へ移動することが可能となります。
斜軸の動きとしては、主にPSw時の蹴り出しに関わります。
MSt〜TStでの下腿外旋・距骨下関節回外・距骨外転位に対して、横足根関節は内転・底屈位(回外)となります。
つまり、距骨外転に対して横足根関節で内転の動きをとることで、足圧中心を外側から内側へ留め母趾での強い蹴り出しを可能とします。
また、IC時の前脛骨筋の内反作用に対して長趾伸筋によって背屈・外転位に前足部を保持することでクリアランスを確保する役割もあります。
参考書籍
まとめ
今回解説した歩行時の足部運動連鎖については、ほんの一部分であり、もっと細かく考えるとまだまだ深堀できると思います。
僕自身まだまだ、知らないことばかりで基本的なとこしか解説できていませんが、また有益な知識を身につけたらアウトプットしていこうと思います。
運動連鎖については、教科書的な人体の正常な骨運動とだけ捉えていただき、人によって連鎖比の違いなどがあることは頭の隅に置いておいてください。
本来の運動連鎖が出ていないから異常ではなく、実際の臨床現場では法則通りにいかないことの方が多いです。
例えば、本来の立位での運動連鎖はこうだけど、筋力がないからできないことや、関節可動域が不足しているためその肢位をとれないなどがあります。
また、そういった機能低下がなく正常な人であっても連鎖が生じない場合があります。
そこで、考えなければいけいないこととして、運動連鎖に加えて姿勢制御が同時に生じているということが重要になります。
実際の運動連鎖はそうであっても、その通りに動けばバランスを崩すため代償的に連鎖から逸脱した動きをとるというのが臨床で最も多いパターンであると思います。
つまり、考えなければいけないこととして、運動連鎖が生じていないからダメではなく、なぜ運動連鎖が生じていないのかという一個先の現象を評価する必要があり、それによってその運動パターンは修正すべきなのか、寧ろ修正することで悪化させてしまうのではないかということがわかってきます。
やはり、疾患をみるのではなく、患者さんをみるということが医療の基本ということですね。
それでは、今回はこの辺りでおしまいです。
今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います!
理学療法士 ヨシキでした!
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