【椎間板内圧が最も高まる姿勢は?】姿勢によって変わる椎間板圧縮応力と腰痛|リハビリのポイント

【椎間板内圧が最も高まる姿勢は?】姿勢によって変わる椎間板圧縮応力と腰痛|リハビリのポイント

こんにちは!

理学療法士のヨシキです!

今回は、Re:bitでも何度か解説している腰痛と姿勢について解説しようと思います。

ほとんどの人は、休む時に立っているより座って休むことの方が多いと思います。

しかし、座って休憩した後、腰が痛くなる人も見たことはないですか?

なぜなのか。

それは、立位より座位の方が椎間板圧縮力が高いことが関係しているかもしれません。

椎間板圧縮力の危険値

椎間板の圧縮力の限界値は、年齢や性別によって異なることが知られています。

それらを踏まえて、米国のNIOSHによる研究では、

3400N以上の椎間板圧縮力

が組織損傷の許容限界値として報告されています。

しかし、実際は半分の値である1700〜1800Nのストレスが30秒以上続くと腰痛発生リスクが高まるとも言われています。

そのため、3400Nは災害性腰痛の発生リスクと言え、この数値を超えるストレスが積み重なると損傷が引き起こされるが、その半分の数値でも姿勢保持時間や環境によって、腰痛が誘発されます。

では、どのような姿勢・動作が危険値を超えてしまうのでしょうか?

姿勢によって変わる椎間板圧縮力

まずは、姿勢ごとの椎間板内圧の違いを見てみましょう。

立位を椎間板内圧100とした時に、座位は140と立位よりも椎間板内圧が高くなっているのがわかります。

また、立って前傾で荷物を持つと立位の倍以上の椎間板内圧がかかってしまいます。

さらに、座って前傾で荷物を持つとさらに強い椎間板内圧がかかっていますね。

日本人は世界で見ても生涯で過ごす座位時間が長い国と言われており、インターネット社会である現代では長時間座位による腰痛は多発してしまうでしょう。

では、実際にこれらの姿勢では何Nのストレスがかかってしまうのでしょうか?

上記の数値から、圧迫骨折等の腰痛患者さんへの指導は、20kg以上の物の持ち上げは注意が必要ですね。

ついでに、歩行や走行での骨負荷についてもまとめておきます。

①通常歩行

 体重の3〜4.5倍

②ジョギング

 体重の4〜5倍

③階段の上り下り

 体重の6.2〜8.7倍

椎間板内圧を抑える方法

まず、最も椎間板内圧がかかってしまう前傾姿勢で物を持つ動作についての対策方法について考えてみましょう。

前提として、座位姿勢で物を持ってしまうと腰痛は避けられないため、まず物を持つなら立位で行うことを徹底しましょう。

立位が取れたら、パワーポジションをとるように指導しましょう!

パワーポジションとは

最も力が発揮しやすい姿勢とされ、足を肩幅より少し広めにとり、背中を真っ直ぐにしたまま股関節屈曲で体幹を前傾させながら膝関節を屈曲、肩甲骨を軽く内側へ寄せた姿勢。

このような姿勢で、持ち上げたい対象をお腹に近づけて持つように指導しましょう。

その他の対策として、腹腔内圧を高めることが挙げられます。

腹腔内圧が高まることで、椎間板にかかる負荷が30〜50%軽減されるといわれています。

また、腹腔内圧は腰椎の生理的弯曲を維持するためにも重要です。

腹腔内圧には横隔膜の動きが関与しており、横隔膜が下がることで腹腔内圧が高まります。

コアマッスル等の体幹筋群も腹腔内圧に関与していますが、それらは横隔膜が下がることで高まった腹腔内圧を外側から覆うことで高めた腹腔内圧の保持に寄与しているため、体幹筋トレーニングのみで横隔膜が優位に下がるわけではありません。

そこで有効とされているのが、ブレーシングです。

これは、ドローインとは違い吸気が重要で、吸気に最大まで腹部を膨らませ、最大まで吸いきったら、呼気で腹部をへこませていきます。

これによって横隔膜の適切な上下動を促すことができるので、ぜひ実施してみてください。

個人的には、ブレーシング→ドローイン→レッグレイズ等の股関節を用いた体幹ex→パワーポジションexの順でメニューを組むと効率的に体幹トレーニングができると考え実施しています。

まとめ

今回は椎間板圧縮力についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

基本的な内容ですが、改めて学習し直すと日々の治療方法や考え方の見直し・修正ができると思うので、忘れた時にはまた覗いてみてください!

それでは、本日はこの辺りでおしまいです。

今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います。

理学療法士 ヨシキでした!