ストレッチングの種類と効果の実際|論文からみるストレッチングの効果時間

ストレッチングの種類と効果の実際|論文からみるストレッチングの効果時間

こんにちは!

理学療法士のヨシキです!

今回は、ストレッチングの種類と効果時間などのエビデンスについてまとめていこうと思います。

リハビリでは、ストレッチングは頻繁に使う手技だと思いますが、

ストレッチングにも様々な種類があり、適応も違います。

加えて、ストレッチングの有効時間は、筋肉によっても違うと言われています。

なので、これからの治療選択肢の幅を広げるためにも、ぜひ読んでみてください😊

ストレッチングの種類

スタティックストレッチング

反動や弾みをつけずに筋をゆっくり伸張するストレッチング方法であり、静的なストレッチングになります。

最終域までの伸張を維持することで、腱の伸張を促し、ゴルジ腱器官を介したⅠb抑制を利用して筋緊張を低下させます。

ストレッチング方法の中で、最も多く利用されるメジャーなストレッチングですね。

利点としては、反動を使わないので、伸張反射が起こらないことが挙げられます。

注意点としては、痛みの感じる手前で静止して、防御性収縮を誘発させないこと。

意識して力を抜き、筋が弛緩した状態でできるだけ脊髄反射を抑えて行うことが大切です。

バリスティックストレッチング

反動をつけて行うストレッチング方法であり、体育前のアキレス腱伸ばしで、上下に弾むように反動をつけて行うアレですね。

スポーツ競技前などにパフォーマンスを上げるためのウォーミングアップとして効果があるとされています。

外的な力によって効果的に筋伸張を図れる一方で、注意点もあります。

まず、反動によって筋紡錘が刺激され筋緊張を亢進させてしまう可能性があるため、何らかの可動域制限を有する場合は避けた方がいいです。

また、外的な力によって筋組織の限界を超えて伸張してしまうことがあり、傷害のリスクにも注意が必要です。

ダイナミックストレッチング

主動筋を収縮させて拮抗筋を弛緩させる相反神経抑制を利用したストレッチングです。

方法は、伸張したい筋に対する拮抗筋の収縮と伸張を繰り返し、収縮強度は徐々に増加させます。

スタティックストレッチングとは違い、脊髄反射の相反神経抑制を利用して筋の弛緩を図ります。

PNF応用ストレッチング

PNFとは、固有受容器神経促通法とされ、PNF応用ストレッチングでは、主動筋と拮抗筋のどちらか、あるいは両方において、収縮と弛緩を交互に繰り返すストレッチング方法となります。

筋の収縮を抑制する神経系の応答を利用したストレッチングであるとされています。

スタティックストレッチングとPNF応用ストレッチングはともに可動域を向上させるとされていますが、PNF応用ストレッチングの方が柔軟性向上に関して高い効果があるとの報告もあります。

主なストレッチング方法は以下の3つになります。

ホールドリラックス

筋の最大収縮後の反回抑制を利用した筋弛緩作用伸張位で筋収縮を行うことによる筋腱移行部の伸張に伴うⅠb抑制を利用した筋弛緩作用を目的としたストレッチング方法です。

手順としては、対象とする筋にスタティックストレッチングを5〜10秒程行い、そこから伸張させた筋を6〜8割程の力で等尺性収縮させます。

介助者は、関節が動かないようにしっかり固定し、収縮を3〜5秒程行います。

その後は、筋肉を弛緩させて、同様にスタティックストレッチングを行います。

この時のスタティックストレッチングでは、セット数が進むにつれ、少しずつ可動域を増して伸張させることがポイントになります。

これと似たような手技にポストアイソメトリックリラクゼーション(PIR)というものがあります。

これは、伸張最終域で2割以下の力で等尺性収縮を5〜8秒程度行い、その後完全に弛緩させます。

これを3〜5セット程繰り返します。

個人的には、疼痛を有している患者さんにはこちらの手技を多く利用しています。

コントラクションリラックス

ダイナミックストレッチングと同様に、拮抗筋の収縮による相反神経抑制を利用したストレッチング方法です。

こちらもスタティックストレッチングから始まり、伸張筋ではなく拮抗筋の等張性収縮を行います。

介助者は、収縮に合わせて同じ方向に関節が動くように4〜6秒程誘導します。

そして、スタティックストレッチングに戻ります。

このストレッチングでも、セット数が進むにつれ、可動域が増すようにしていきましょう。

スローリバーサルホールドリラックス

この方法は、ホールドリラックスとコントラクションリラックスを組み合わせた方法です。

まず、スタティックストレッチングを行い、ストレッチさせた筋の等尺性収縮を3〜5秒程行います。

その後、拮抗筋の等張性収縮を行い、主動筋がストレッチされる方向へ関節が動くよう誘導し、可動域を増加させていきます。

これを4〜6秒程行います。

その後、スタティックストレッチングに戻り、繰り返します。

   ホールドリラックス
 コントラクションリラックス
スローリバーサルホールドリラックス

ストレッチングの効果時間

ストレッチングによって可動域の改善が得られることが報告されていますが、ストレッチングの効果的な実施時間について意識して行なっていますか?

実施時間については、様々な報告がありますが、実施時間は30秒で良いと報告しているものが多いです。

30秒および60秒のストレッチングは、15秒のストレッチングまたはストレッチングなしよりも、ハムストリングスの柔軟性を高めるのに有効であった。

さらに、30秒と1分間のストレッチングの間に有意差はなく、30秒のハムストリングスのストレッチングは1分間という長時間のストレッチングと同等の効果があったことが示された。

出典ーBandy WD et al: The effect of time on static stretch on the flexibility of the hamstring muscles. Phys Ther 74: 845-850, 1994.ー

上記の研究では、ハムストリングスのストレッチング効果時間を調べたものになりますが、

徒手による他動的な関節可動域テストの結果をアウトカムとしているため、信頼性が低いと指摘されています。

そこで、関節を動かした際に生じる圧迫力(トルク)の計測が推奨されており、この受動的トルクやスティフネスの変化を指標とした研究報告を紹介します。

a)スタティックストレッチング(SS)における即時効果

5分間のSSが筋腱複合体(MTU)全体や筋のスティフネス、筋束長に及ぼす影響を検討した。結果、5分間のSSはMTU全体や筋の柔軟性を増加させ、その効果は10分後まで持続することが明らかになった。

b)即時効果を得るためのSS時間の検討

5分間のSSがMTU全体の柔軟性や筋の柔軟性(筋腱移行部(MTJ)の移動量)に及ぼす影響を経時的に検討し、MTU全体や筋の柔軟性を増加させるために必要なSS時間を検討した。その結果、受動的トルクはMTU及びMTJともに2分以降のSSで有意に低値を示した。

c)継続的なSSにおけるMTUおよび筋の柔軟性の変化

2分間のSSを4週間継続的に行うことがMTUや筋に及ぼす影響を検討した。結果、1日2分間のSSを4週間実施した群のMTU全体の柔軟性や筋の柔軟性が増加することが示唆された。

d)SSとホールドリラックスストレッチング(HRS)の効果の違い

2分間のHRSおよびSSがMTUの他動的性質および筋力に及ぼす影響を検討した。その結果、両ストレッチング方法とも最大背屈ROMと最大背屈ROM時の受動的トルクは増加し、背屈30°における受動的トルクと筋のスティフネス、等尺性底屈筋力は有意に減少した。また、変化率の比較では、最大背屈ROMに大きな差はないが、背屈30°における受動的トルクと筋のスティフネスの変化率はSSがHRSより有意に大きく、最大ROM時の受動的トルクの変化率ではHRSがSSよりも有意に大きかった。さらに、底屈筋力の変化率ではSSがHRSよりも有意に大きな値を示した。

出典ー市橋則明:運動療法学 障害別アプローチの理論と実際 第2版.文光堂,東京,2014,pp200-201.ーー

まとめ

ストレッチングの効果時間およびMTU全体の受動的トルクやスティフネスに与える即時的影響に関しては、数多くの報告があります。

そのため、研究結果も様々存在しており、まだまだ研究の必要性があると感じます。

ただ、2010年以降に報告されたもののほとんどは、ストレッチングが柔軟性を向上させる効果を支持しており、即時効果はあると考えてよいといわれています。

今回紹介した研究報告をまとめると、

  • 2分以上のSSでMTUや筋の柔軟性が向上する。
  • SSで筋束長は変わらないが、ROMの増加とROM時の受動的トルクが減少する
  • 筋腱の柔軟性向上はSSの方がHRSより効果的。
  • HRSはSSより筋力低下を起こしにくいストレッチング方法。
  • HRSは最大ROM時の受動的トルクを有意に低下させやすく、筋の柔軟性より疼痛閾値を変化させることでROMを増加させる。

となります。

これらのことからも、2分以上のストレッチングをしないと柔軟性が確保できないため、急性期などの疼痛を伴う患者さんでは2分間のSSは使用しにくいですよね。

実際、術後の柔軟性は疼痛に起因したものが多く、筋攣縮を伴っていることが多いので、SSよりもホールドリラックスや反回抑制を利用するもの、PIRなどの方が有効と考えます。

私自身、術後患者でSSを使用することはほとんどありません。

どちらかというと、スポーツ現場や回復期に以降した患者さんで使用することが多いですね。

それでは、今回はこの辺りでおしまいです。

今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います!

理学療法士 ヨシキでした!