【アスリートも必須!】骨粗鬆症と食事療法|骨の健康のためにカルシウムだけ摂っていてはダメ?
- 2023.10.10
- その他 生理学
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こんにちは!
理学療法士のヨシキです!
今年が骨粗鬆症マネージャー取得に向け、骨粗鬆症について勉強をしているのですが…
皆さんに質問です。
骨の健康のためにカルシウムは重要ですが、カルシウムだけで骨の健康は保たれるのでしょうか?
答えは、NO!です。
じゃあ、何が必要なのか、今回は骨の健康維持のために必要な要素について解説していこうと思います。
日本人はカルシウム摂取量が少ない?
まず、カルシウム以外に必要な要素の解説の前にカルシウムについて少し解説します。
カルシウムの役割の大部分は骨格形成にありますが、1%は血液凝固作用や筋収縮の促進、神経興奮の抑制などに関与しています。
カルシウムは主に小腸で吸収されていますが、吸収率は成人で20〜30%程度と十分な吸収率とは言えません。
その上、日本人においては、西洋人と異なり歴史的に乳製品の摂取量が少ないため、カルシウム摂取が不足しがちと言われています。
カルシウムの推奨摂取量は、食品から700〜800mg、耐容上限は、成人男女で2500mgとされています。
【食事摂取基準】
- 成人男性:750〜800mg
- 75歳以上の男性:700mg
- 成人女性:650mg
- 75歳以上の女性:600mg
出典ー骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015ー
牛乳1本200mLでカルシウム 200mg摂取可能ですが、吸収率が低いことを考えると全然足りませんね😅
さらに、年齢を重ねていくにつれカルシウム吸収能は低下していくのですが、ピークは10代が最大で約45%の吸収率であるのに対して、20代から30%まで急激に低下し、70代では20%の吸収率となってしまいます。
そのため、骨粗鬆症予防のためにカルシウム摂取を心がけることは重要なことですが、ただでさえ吸収率の悪いカルシウムばかりを摂取し続けても効率が悪いです。
カルシウム摂取のための食事療法の注意点としては、
- カルシウムだけでなくバランス良く食事摂取する
- インスタント食品などに含まれるリンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害してしまう
- 食塩の摂りすぎはカルシウムを体外へ排出してしまう
などが挙げられるので、普段の食事から注意していきましょう。
また、カルシウム不足は高血圧と関連しており、カルシウムが不足すると代償的に血中カルシウム濃度が上昇します。
すると、カルシウムの作用によって血管攣縮が引き起こされ、血流が悪くなることで高血圧を引き起こしてしまいます。
骨とタンパク質
カルシウム以外で骨に必要な要素1つ目は、タンパク質です。
タンパク質が骨にどう影響しているのか?
それは、タンパク質の不足によってインスリン成長因子(IGF-1)という物質が減少して、骨が減りやすくなってしまうとされています。
つまり、タンパク質は筋肉の形成のみではなく、骨の健康維持に重要ということになります。
また、適量のタンパク質摂取に加え、適正体重の維持も重要です。
一般的に体重が軽い高齢者では、骨量・筋肉量ともに低下するため骨粗鬆症性骨折が増加することが報告されています。
そのため、骨の健康維持としての役割に加え、適正体重の維持としての役割をタンパク質が担っているため、カルシウムだけでなくタンパク質も適切に摂取する必要があります。
【適正体重(BMI)】
- 18〜49歳:18.5〜24.9
- 50〜64歳:20.0〜24.9
- 65〜74歳:21.5〜24.9
- 75歳以上 :21.5〜24.9
【タンパク質の推定平均必要量(1日あたり)】
- 成人男性:50g
- 成人女性:40g
【タンパク質の推奨量(1日あたり)】
- 成人男性:60〜65g
- 成人女性:50g
カルシウムとビタミン
骨の健康維持に必要な要素として、ビタミン群は有名ですね。
全てまとめると長くなるので、今回はビタミンDに絞って解説していきます。
骨粗鬆症治療で最も注目されているビタミンであるビタミンDはどんな役割をしているのでしょうか?
ビタミンDの役割は、腸管でのカルシウムとリンの吸収を促進することで、血中カルシウム濃度の調整に関与します。
加えて、骨に直接作用することでカルシウムとリンを効率良く骨に蓄積させる作用も持ちます。
ビタミンDが不足している場合、血中カルシウム濃度が低下してしまい、代償として副甲状腺ホルモンが増加します。
その副甲状腺ホルモンの作用によって、骨から血中へカルシウムが放出して血中カルシウム濃度を保とうとするため、結果的に骨粗鬆症を助長してしまうことになってしまいます。
【ビタミンD摂取量】
- 推奨摂取量:10〜20μg /日
- 推奨食事摂取量:8.5μg /日
※20歳以上の平均摂取量 7.3μg /日
ビタミンDに関する報告は数多くされており、カルシウムとビタミンDの同時投与が骨折を減少させる効果があることやビタミンDが筋力維持に効果があること、死亡率・循環器疾患・2型糖尿病・癌のリスク軽減に効果があるなどがあります。
そんな重要なビタミンDは日光浴を行うことで体内で生成できることも報告されています。
真冬でもお昼頃に1日15分程度の日光浴を行うことで健康維持に十分とされ、日光は顔と手に当たれば十分と言われています。
ビタミンDが多い食材は、魚や日光に当たったキノコ、卵黄などがあり、イワシ1尾で約30μg、サケ1切れ(80g)で25.6μgと十分なビタミンDが摂取可能であるため、魚摂取が最も効率の良いビタミンD摂取方法といえます。
まとめ
最近では寿命が軒並み90歳を超える方が増え、高齢社会であることは間違いありません。
今後も医療の発展に合わせて、寿命は伸び続けると思われますが、それに合わせて骨粗鬆症や骨折・転倒事例も同様に増え続けると思います。
高齢者だけでなく、カルシウム吸収率は20代から低下してしまうため、若いうちからカルシウム摂取を考慮した食事を心がけることは必要です。
骨粗鬆症予防・治療としても、健康な身体作りのためにも若年者、アスリート、高齢者全ての人にとって今回の内容は活きてくるので、リハビリの一環として食事指導もできるとより包括的な治療ができると考えます。
それでは、今回はこの辺りでおしまいです。
今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います。
理学療法士 ヨシキでした!
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